子育てするアーティストを
排除しないために

文化施設やレジデンスのためのガイドライン

1. 組織として、家族連れのアーティストを積極的に受け入れる

アーティストが親になっても連絡を取り合い、授乳に対する配慮を心がけてください

アートが家 族連れにも親しみやすい必要はありませんが、文化施設は家族連れに寛容であるべきです。

2. プロジェクト開始時にアーティストの家族状況を把握し、アーティストが子育ての責任を果たせるような体制を整える

親であることを「告白」しなければならないとか、そうすることで展覧会や制作依頼、レジデンスなどの機会を失うかもしれないという不安をアーティストに抱かせるべきではありません。

3. 子育てをするアーティストは移動や旅行の際に子どもやパートナー、またお世話をする人などの同行者がいることを想定し、受け入れに備える

4. プロジェクトの始めに、いつ何が必要なのかをアーティストと共に合意し、互いがそれに伴う計画を立てられるよう、作業にかかる十分な時間を与える

文章作成やトークなどの急な依頼を直前にしないでください。

5. アーティストの保育料にかかる予算を考慮する

アーティストと、保育に必要なコストを話し合い、提供できるもの・できないものを明確にしましょう。

アーティストが保育に必要な部分は直接経費として請求できるようにし、収入として課税されないようにしてください。

6. 展覧会のオープニングや関連イベントは、子育てをしているアーティストにとって都合がつきやすいスケジュールにする

夕方に内覧会を行うことにこだわらず、週末の日中に行うなどの選択肢も考慮してください。夕方の時間帯は夕飯、お風呂、寝かしつけなど子どもの世話に費やされるため。

7. 学校の学期や行事に配慮する

子どもと一緒に移動する必要のあるアーティストのために、例えば学校の休暇中に展示設営を行うなどの選択肢を提供してください。

8. 出産や育児によりキャリアを中断しているアーティストが対象に含まれるように、レジデンスプログラムやアワードの年齢制限をなくす、もしくは見直す

9. 子育てのニーズに合わせてレジデンスの期間を調整する

例えば、アーティストが滞在期間をより管理しやすいように、分割できるようなシステムの導入をしてください。もしアーティストが移動できない状況にあるならば、自分たちのスタジオでリサーチやアイディアを展開させられるようなサポートも必要です。

10. 活動歴の空白をアーティストの努力や実績の欠如とみなさない

アーティストとしてのキャリアには様々な形があります。そしてそれは、色んな理由によって中断されてしまいます。

その理由の一つに、子育てがあるのです。新鋭のアーティストは、必ずしも新卒であるとは限りません



Back and Forth Collective (Mei Homma, Natsumi Sakamoto, Asako Taki), Timeline Project (Yukiko Nagakura and Yasuko Watanabe), Catherine Harrington, Koki Tanaka and Yuka Tokuyama.

Back and Forth Collective
Timeline Project